古楽夢 ~六拾弐~

木曾海道六拾九次之内
柏原/広重画

 伊吹山の麓にある柏原宿の名産は伊吹艾であった。ここの伊吹艾は古くから有名で、平安時代の歌人和泉式部は伊吹艾を引き合いに出して、つれない男を恨んだ和歌「けふも又かくや伊吹のさしもぐさ さらば我のみもえや渡らん」を残している。艾というのは蓬の葉を乾し、揉んで葉の裏の白毛のみを採り、これを晒して細い枝状にしたものである。この艾を切って人の皮膚上の灸穴といわれる特定の場所に乗せ、火を付けて焼く(灸を据える)と、血止め、歯痛、神経痛などの病気の治癒が促進されるとされていた。広重はこの宿場に何軒かあった艾を売る店の中で最も有名な亀屋を描いている。この店の売子はみな旅人に扮して艾を売っていた。福を招くという縁起物の福助の前では番頭が、また伊吹山の模型の前では手代が、それぞれ紙に包んだ艾を並べて座っている。店内に見える3人程の旅人の客の中、店先に腰を下ろした1人が、手代から艾の包を受け取ろうとしている。亀屋は茶屋も兼業していて、左側の茶屋では金太郎人形を飾り、「金時のちゃ」や「酒さかな」を売っていた。店の裏の立派な庭園も客の旅の疲れを癒すのに役立った。店の前では人足達が、長持のような荷物を、杖を突支棒代りにして支えて休んでいる。



切手で見る江戸の人物像 その二 (女性編)

歌撰恋之部 物思恋

二代瀬川富三郎の大岸蔵人
妻やどり木

高名美人六家撰 扇屋花扇



錦織歌麿形新模様 文読み

袖が浦の亀吉

婦女人相十品 文読む女



五美人愛嬌競
松葉屋喜瀬川

錦織歌麿形新模様
白うちかけ

名所腰掛八景 ギヤマン



当時三美人