古楽夢 ~四拾六~
木曾海道六拾九次之内
中津川 ※雨の中津川/広重画
雨の景色を描いたこの版画は現存する数がきわめて少なく、接する機会になかなか恵まれない絵とされている。この絵は、遠景が恵那山、近景が街道沿いの家並みと、池という構図をとっている。この構図に似た場所を求めるとすれば宿場外れとなる。宿場の東方の丘陵地は諦めて宿場から西へ向かう。駒場村、千旦林村を過ぎ、坂本集落まで行くと、今まで追って見えていた恵那山がこの絵のように低くなる。ここは東山道の古駅で、江戸時代には立場茶屋が何軒もあり、灌漑用の溜池も多くあった所である。とすれば、坂本がこの絵の諸条件を満たしている場所となろう。さて、しとしとと雨の降る街道を青色の桐油紙で作った雨合羽を着た武家3人が行く。合羽の割け目から刀をのぞかせた先頭の武士が主人で、後に続く2人の供の1人は雨除けの赤い桐油紙で覆った竹馬を担ぎ、他の1人は槍を担いでいる。明かりのついた立場茶屋には女の姿が見え、その家の前には、桐油紙で覆った荷物を積んだ馬が立ち、その傍で腰をかがめた馬子が、明かりを頼りに草鞋の紐を締め直している。それを荷主が心配そうに見守っている。葦の茂った溜池には白鷺が2羽ばかり餌を漁っている。渡り鳥でない白鷺はここを棲息地にしていたのであろう。
桃形兜&椎実形兜の紹介
黒漆塗椎形兜 徳川家光所用
徳川三代将軍・家光所用の紺糸素懸威桶側胴具足に添う兜。
鉄地金箔押桃形兜
鉄地金箔押桃形鉢で、眉庇に二本角元を打っている。啄木糸で素懸威にしている。
学研 図説・戦国甲冑集より抜粋