古楽夢 ~拾六~

古楽夢(拾六)

木曾海道六十九次之内
案中/広重画

日本橋より119.9km

 坂道を登って行く大名行列の前半分だけが示されている。

先頭は竹の杖を持った先払いで、それに続くのは徒歩衆、両掛荷物を担いだ中間、槍を担いだ中間達である。

坂の中腹には三人ばかりの旅人が歩いている。その中の一人は、街道沿いの農家の前に広げた蓆の上に農婦が塩漬けにした梅を日干にするのを眺めている。

安中藩工のお刀の紹介

立花圓龍子国秀 天保十己亥八月七枚鍛

立花円龍子国秀

越後福島応関根道長需於宅鍛之
冑鹿角手鞠真綿髪毛道直自試之

松皮肌模様

松皮肌模様


越後福島の関根道直の求めに応じて自宅にて造る。鎧・鹿角・手毬・髭など道直自ら試す

越後福島の関根道直の求めに応じ
自宅においてこれを作る。
冑(かぶと)・鹿角(しかのつの)・
手毬(てまり)・ 真綿(まわた)・
髭毛(かみのけ)
道直自らこれを試すと刻されております。【刻訳】


国秀は上州安中藩工であったが晩年を鎌倉にて過ごす。

文久頃、坂本龍馬が千葉周作道場に修行の折、國秀に刀を注文し土佐に持ち返った とされております。

(詳細は古楽夢17に)


安中藩主 板倉佐渡守勝清 書状


板倉佐渡守勝清の花押


(現代語)
書状拝見いたしました。ますます何事もなくお過ごしの由、貴重なことだと存じる次第であります。暑気見舞いにお越しくださるとのこと、忝く(ありがたく)存じます。
恐惶謹言(恐れ謹み申上げます)。
六月二十四日   板倉佐渡守勝清(花押)
石原清左衛門様 御報(お手前へ)
(追伸)
※前の二行は追伸に相当。手紙は折って差し出すために、この部分が後となる。
 なお、前回の書面でお示しいただいた趣でいかがかと存じます。

以上