古楽夢 ~九~

古楽夢(九)

岐阻道中 熊谷宿
八丁堤/英泉画

日本橋より64km

左側の茶屋は立場茶屋の「みかんや茶屋」であろう。看板で「あんころ」「うんとこ」(うどん)を宣伝している。茶屋の中の旅人は煙管を煙草盆に突っ込んで火を付けるところであり、老婆は茶を運んでいる。煙管を銜えてえて外の縁台に腰かけた馬子は、煙草入れから煙草を出そうとしている。
その後の馬は飼葉桶の中へ頭を突っ込んで秣を食んでいる。右側の地蔵は歌舞伎「鈴ケ森」に出てくる白井権八に因んで建てられた「権八地蔵」であろう。


江戸グッズ 変わった小刀のご紹介

小刀に刻されている文面です。

「原文」勿謂今日不学而有来日勿謂今年不学而有

    来年日月逝矣歳不我延嗚呼老矣是誰之愆 國正


「解釈」

今日、学ばないで明日より先の日々のことを謂うことはやめよう。

今年、学ばないで、来年以降のことを謂うのもやめよう。

ときは刻々と過ぎてゆくものである。

私には 歳を延ばすことは叶わず、ああ、このように年老いてしまった。

これは誰の誤ちであろうか。(自分の誤ちである。)